真愛
苦しげな表情で訴える瑠依。
「何を言ってんだよ、瑠依。こいつは裏切り者。これぐらい当たり前だろーよ」
そうだよ、瑠依。
蓮の言う通り。
だから、もうそんな顔しないで。
口答えしたら、瑠依まで危ないよ。
「な、に……?裏切り者に…情けで、も……かけてるつ、もり…?そーいう、の…きもいんだけ、ど」
痛みに耐えながら酷い言葉を浴びせる。
お願い、私を嫌ってよ。
憎んで。
瑠依までこんな姿になっちゃうよ。
「おい、人が集まりそうだ。兄貴からの撤退命令も出てる。行くぞ」
その言葉に従い、4人はその場を離れる。
瑠依は何か言いたげな顔をして行ってしまった。
「否定してたくせに結局裏切り者だったんだな。お前にはお似合いな死に様だ」
そう言い残し、颯はその場を去った。
どんどん涙が出てくる。
痛みからなのか、それとも……。
「あは、は……ほんと、無様……」
今日は満月なのかぁ…。
もう、死んじゃってもいいかも知れない。
これ以上生きるのは辛い。
たった一つの生きる希望だった仲間もいない。
雪乃だって、こんなことを知ったら離れるに決まってる。
前から聖藍のファンだっていってた雪乃だから、きっと聖藍を信じる。
私に希望なんて……もうない。
目をつむり、薄れゆく意識の中で願い続けた。
『どうか、みんなが真実を知りませんように』