真愛
「早く出ていきなさいよ!!!」
そういって私を外へと突き飛ばす目の前の女。
私、初瀬 奈々(はつせ なな)の母親。
母親らしいことなんて一つもしたことないけれど。
「あんたがいるとねぇ、私は不幸になるのよ!!消えてちょうだい!!」
怒鳴り散らしてお家へ入り、鍵までしめられた。
今日は一段と機嫌が悪かったなぁ。
うーん、今お家に入ったとしても面倒だしなぁ。
仕方なくその場から離れ、繁華街へと足を向ける。
幸いにも服も着替えたし、いつ出されてもいいようにメイクもバッチリ。
17歳には到底見えない。
まぁ、スッピンでも未成年に見られたことなんてないけれど。
しばらく歩くと、繁華街のきらびやかなネオンが目に入る。
あー、眩しい。
ほんとは光なんて大嫌いだけど、行く所もないしね。
女一人で歩いているのが珍しいのか、はたまた私が歩いてるからかみんな振り返る。
実は私は繁華街でも結構有名らしい。
理由は興味が無いから知らないけどね。
知ろうとも思わないし。
色んな男が声をかけるけど全てスルーしてただ歩く。
だってただの暇つぶしだし。
あ、お家に帰っても意味なさそうだし、あそこに行こうかな。
そう思い、路地裏を抜けて小さなお店に入る。
外装は黒のシンプルなデザイン。
中に入ると、同年代くらいの子がたくさんいる。
今日もたくさんいるなぁ。