真愛
黒獣。


尊side

俺の名は久月 尊(くづき みこと)。

裏社会を牛耳っている久月組の若頭。

今日は久々の休日を自宅であるマンションで楽しんでいた。

最近は仕事が立て込んでて、ゆっくり休めずにいたしな。

特に何をするでもなく、ソファに横になっている時だった。

プライベート用の携帯が鳴った。

「……チッ」

ディスプレイには 朝比奈 楽(あさひな がく)の文字。

俺の側近でもある。

コイツからの電話って事は面倒な仕事でも入ったのだろう。

イライラしながら電話に出る。

「……何だ」

『あ、もしもし尊?頼みがあるんだ』

「また面倒事か」

『んまぁ、そんなとこだが…』

「用件は」

焦ったように話す楽。

よっぽどのことでもあったのだろう。

側近であり、親友のコイツの頼みを無視するほど鬼でもないしな。

『雪乃から電話が入って、人を探して欲しいらしい。何でもアイツの親友なんだと』

「俺とその親友とやらは赤の他人だが」

『…そうでもねぇかもしれねぇぞ』

「あ?」

核心を言わない楽に苛つきを覚えた次の瞬間。

楽が驚きの一言を発した。

『相手は聖藍と関係があるみたいだ』




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