真愛
…聖藍、ね。
そういや最近騒がしいな。
人探ししてるとかなんとか。
俺らは聖藍を毛嫌いしている。
正確に言うと前の代の頭が嫌い。
子供で頭も弱い。
世代交代してからは収まっていたが、最近は繁華街で問題行動を起こす始末。
そろそろ目をつむれなくなってきていた。
「今すぐ車まわせ」
『もう下にいるよ』
さすがだな。
俺はジャケットを羽織り、下へ降りた。
車にもたれかかり、煙草を吸う楽の姿が見える。
車に乗るなり、急発進する車。
相当焦ってんな。
まぁ、無理もないだろう。
なんせ、実の妹からのお呼び立てだしな。
苗字は違うが、実の兄妹である楽と雪乃。
シスコンだからな、コイツ。
あっという間に繁華街につき、車を降りると俺らの存在に気づいたのか周りが湧く。
「尊さまぁぁ〜っ!!!」
「私を抱いて下さい〜!」
「楽さまもいるじゃない!」
「楽さまぁ〜っ!」
クソうぜぇ。
そんな声を無視して雪乃と合流する。
「雪乃」
「お兄ちゃん!ねぇ、まだなーつん見つからないの!!ねぇどうしよう…!!」
青い顔した雪乃。
こんなに取り乱している姿は何年ぶりだろう。
いつも笑顔のコイツが取り乱す程、大切なんだろう。
「落ち着け、な?何があったんだよ?」
「…2人で買い物してて、それで…帰り道に男の人の姿見た途端、顔色変えて走ってって…男の人も追いかけて行って……それで…!!!」
「その男は?」
「……頭だよ、聖藍の」
ソイツが聖藍と何らかの関係があるのは明白だな。
探そうとした時、路地の方がやけに騒がしかった。
3人でそこに行ってみると…そこには血を流した女がいた。
所々に痣や切り傷があった。