真愛
奈々side
「ん…………」
目を開くと、知らない場所にいた。
さっきまで路地にいたはずじゃ……。
「なーつんっっっ…!!」
突然雪乃が泣きながら抱きついてきた。
他にも心配そうに顔をのぞき込む男の人が二人。
どちらとも綺麗で整った顔をしている。
「雪乃、この人たちは?それと、ここどこ?」
暗いブラウンの髪の毛の人がニコッと笑い答える。
「初めまして!朝日奈 楽っていうよ♪楽って呼んでね♪そんでこっちがー」
「久月 尊だ」
黒髪の男の人が簡潔に答える。
男のフェロモンダダ漏れ。
漆黒に澄んだ双眼が私をとらえる。
「それでここは?」
「えっと、その……」
雪乃が言葉に詰まる。
いいにくい場所なのかな。
「奈々ちゃんは久月組って知ってる?」
ニッコリとした綺麗な顔で楽さんがいう。
「いえ」
「んーー…まぁ、そっか。知ってたら尊みて気付くよねぇ…」
何がいいたいんだろ。
簡潔に場所をいってくれればいいのに。
「ここは極道、久月組の本家だ」
「極道?」
あぁ、よく任侠映画とかで出るやつ。
「尊ストレートにいいすぎ!びっくりして言葉も出てないじゃん」
「なーつん…びっくりした、よね……?」
「ほんとにいるんだね。握手してほしいくらい」
「「「は?」」」
三人の声がカブった。
間の抜けた声をそれぞれ出す。
すごいよねー、うん。
「怖がらないの……?」
「助けてくれたってことはいい人なんでしょ。それに、雪乃もいい子だし」
そうでしょ?と雪乃の頭を撫でる。