真愛
公園に到着して、辺りを見渡すと、ベンチに1つの人影。
ゆっくり近づくと、瑠依が振り返った。
大きな目を見開いて固まっている。
「……なに固まってんの」
「え、あ、あの……来てくれると、思ってなかった」
「自分で呼び出しておいて?」
「それは……」
もう信用なんてないと思ってたから……。
そう呟いて俯く。
聖藍はいなさそう。
ほんとに1人なんだ。
「で、なに」
ベンチに瑠依との間を結構とって座る。
まだ完全に信用してないし。
「……聖藍、抜けた」
「は……?」
ザァァっと強い風が吹く。
今…なんて……?
「ずっと、嫌だった。」
苦しげな表情で私を見つめる。
「なっちゃ……奈々ちゃんがいなくなった後、聖藍がどういう風になっちゃったか、知ってる?」
「…知らない」
「すごい…荒れたよ。内部でもね、瀧につく奴と、そうじゃない奴とで分かれて。前の笑顔なんか…これっぽっちもない」
遠くを見つめながら話す。
何で?何でそんなことに?
「始まりは、後輩が奈々ちゃんの話をしたことだった。後輩達の中には、奈々ちゃんが裏切ったっていうことに疑問を抱いてる子がたくさんいたんだよ」
ほんとに、みんなに慕われてるんだね。
微笑んで嬉しそうにする瑠依。
「その子達が瀧にいったんだ。ちゃんと聖藍も動いて、確かな情報を手に入れてから真実を見極めるべきだ、って。そしたら……」
少しの静寂を挟み、瑠依が衝撃的な言葉を放った。
「病院送りにされたよ、その子」
私はその言葉に絶望した。
前の聖藍では考えられない。
何よりも後輩達との関係を大切にしていたのに?
「僕もね、ずっと疑問だったんだ。ほんとに内通者なら、もっと内部を壊したりするはずでしょ?けど、奈々ちゃんは壊すどころか、みんなを繋いでくれた」