真愛
私の目を見つめて、口を開く。
「奈々ちゃんは、ほんとに裏切り者だったの?」
頭が真っ白になった。
どう答えるべき?
もしもまだ聖藍と繋がっていたら?
真実が広まってしまう。
きっと自分を責める。
そしたら……もっと壊れてしまう。
そんなこと望んでないんだよ。
頭の中で自問自答を繰り返す。
「…まだ、話せない、ごめ、ん……」
震える声で答える。
ダメなの、今じゃ。
聖藍が立て直さないと。
一刻も早く立て直さないと。
このことがkudanの耳に入れば…終わり。
「いつなら…話してくれる?」
「時がきたら。せめて聖藍が…元に戻ったら」
今全てを話せば混乱するに決まってる。
後輩達の反抗も半端じゃないはず。
このままじゃ…ダメなんだよ。
「…そっか。でもこれでわかった」
瑠依は嬉しそうに笑って続ける。
「……なっちゃんは、裏切り者なんかじゃない」
思わず涙が溢れそうになった。
何で…何で信じてくれるの…?
あんなに酷い言葉をぶつけたのに。
私はもう……汚れてるのに。
「僕が…聖藍を元に戻してみせるよ。だから…その時はちゃんと話してね」
そういってあの日と変わらず無邪気に笑ったんだ。
何にも変わってなかった。
胸が嬉しくて熱くなる。
それと同時に苦しくなった。
もう、きっと……みんなで笑えない。
私は真実を告げるつもりなんてないんだから。
今日はわざわざありがとう。
そういって公園を出て行った。
「ごめん、ね……」
たくさんのごめんねと、ありがとう。
それだけを残して、私はみんなの前から消える。
こんな私をどうか…許して。