真愛
「さて、この散らかった部屋を片付けなきゃね。せっかく掃除したのに」
少し拗ねてみせる。
「引いたか?」
「え?」
「異常だ、と思ったか?そりゃ怖いよな」
そういって自嘲する。
その目は悲しみを帯びていた。
私は無意識の内に尊の頬に触れていた。
「な、な……」
「これほど心配してくれてたんでしょう?ありがとう、尊」
心配かけてばかりね、そういって笑って見せた。
私は大丈夫よ。
だから、そんな悲しそうに笑わないで。
きっと、尊にも闇がある。
私はただ、安心させることしか出来ないけれど。
少しでも、尊の心休まる場所であれたら。
そう、思うの。
「…やっぱお前は最高の女だ」
突然お姫様抱っこして私を寝室へ連れて行く。
「掃除は?」
「あ?そんなん楽にでもやらせとけ」
私を優しくベッドへ寝かせ、毛布を掛けてくれた。
また寝かせようとしてるのね。
「体力使ったんだ、寝ろよ。俺も寝る」
毛布にモゾモゾと侵入して、私を抱き締めて目をつぶる。
何いっても無駄そうね。
仕方が無いから、ワガママ聞いてあげる。
尊のシャツを握り締め、私は眠りについた。