真愛
「俺にも頼っていいんだからね?」
額が私を覗き込んでニコッと笑う。
「大切な方のお力になりたいのは、皆同じなんですから」
蒼聖さんも穏やかに笑う。
そんな2人に自然と頬が緩む。
「ありがとう」
いつもより自然な笑顔でお礼をいうと、2人とも顔を赤くした。
蒼聖さんなんか、耳まで真っ赤。
「はー、もう奈々ちゃん天使!!」
楽が両手を広げ、私に抱きつこうとしたその時。
分厚い辞書が楽の顔目がけて飛んできた。
それをギリギリの所で避ける。
この反射神経を褒め称えたい。
辞書を投げ飛ばした張本人の尊は当たらなかったのが気に入らないのか盛大な舌打ちをした。
「尊危ないよ!!俺の綺麗な顔に傷がついたらどうすんの!?」
「安心しろ、お前の顔を綺麗と認識するやつなんかいねぇ」
「ひどっ…!?」
奈々ちゃーん!と涙目になって泣きついてくる。
尊はすごく殺意のこもった目で睨んでるけど。
「おい、奈々に近づくな」
「早く仕事終わらしゃいいでしょーっ!」
尊に向かって舌を出す楽。
子供っぽい仕草にムカついたのかさっき以上の早さで仕事を片付ける。
その内、ストレスで血管破裂しそう。
「楽、貴方も仕事して下さいね。私だけでは片付けられませんので」
「ちぇっ…すぐ終わらせてお喋りしようね!」
そそくさと自分の席に座り、パソコンに向かった。
みんな忙しそう。
やる事ないし、少し眠ろうかな。
無理やり起こされたし。うん。
ソファに横たわり、静かに目を閉じた。
ここなら、安心して眠れそうな気がしたから。
すぐに眠気に襲われ、睡魔の波にのまれた。