真愛
偽りを解く糸。
「ほう…ホッコリするねぇ」
「そうだねぇ…」
私はまさに今。
本家の縁側で雪乃とお茶を飲んでいる。
温かい高級日本茶葉使用…らしい。
漢字の長い羅列を見て、読む気失せたくらい。
なに、高級日本茶葉使用って。
漢字使いすぎ、読みにくい。
…って、話が脱線しちゃった。
私が本家にいる理由を解き明かすには朝までさかのぼることになる。
そう…あれは尊を会社に送るために玄関へ行った時だった。
「え?今日遅くなりそう?」
「あぁ。商談もいくつか入ってるし、蒼聖と楽が嫌がらせのように大量の仕事を持ってきやがった」
アイツら絶対殺す、とニッコリ笑った。
あぁ……どうか無事でありますように…。
「ってことでだ。一緒に会社に」
「行きません」
尊の話を遮って言い放った。
「……一緒に」
「行きません」
「……なぁ」
「そんな可愛い顔でも通用しないから」
捨てられた子犬のような目で見るけど、ぐっと堪える。
私が行ったらすごい速さで仕事が片付くと思う。
けど、尊のペースで出来ない分、尊の体に負担がかかるだろうし。
今日ばっかりはお留守番。
「お前を1人家に置くのは俺が心配だ」
「うーーん…あ。じゃあ、本家に行くのはどう?」
「は?」
豆鉄砲でも食らったような顔をする。
目が点になるってこういうこと?
「椿さんと司さんにもお会いしたいし、雪乃にも会いたいし!あそこなら安全だし?ね、いいでしょ?」
う、うーーん…と唸る尊。
「…仕方ねぇ、行ってこい」
「やったーっ!」
「その代わり、蒼聖をここに向かわせるから本家まで送らせる。それが条件だ」
「蒼聖さんなら話しやすいし、大丈夫!」
「仕事が終わったら、すぐに行く」
ってことで本家にお邪魔してる次第でございます。