真愛
「んーーーっ!やっぱりここの空気は落ち着く!」
意外と静かだし、落ち着いて休める。
結構息抜きにもなってすごく居心地がいい。
「いいよね、ここ落ち着くよね〜!」
「ほんとに!色んな人いて、話すのも楽しいし」
雪乃と色々話していると、蒼聖さんが来た。
椿さん達に呼ばれてるらしく、2人の待つ座敷へ向かう。
何の話かなぁ〜?
やっぱり婚約は認めない、とか…?
……なんか不安になってきた。
少し憂鬱な気分で座敷の戸を開ける。
「失礼致します、奈々です」
ペコリと頭を下げ、1歩座敷へ入り丁寧に戸を閉める。
「そんなにかしこまらなくていいぞ、奈々」
「そうそう、ここは貴女の実家よ?」
「へ?実家?」
あまりにもサラリというから思わず聞き返した。
聞き間違い?
実家とかいってなかった?
「俺と椿のことは親と思っていいんだ。だから、ここは奈々の実家。俺たちは父親と母親」
「お父さんとお母さんって呼んでね?」
「え、いやでも……」
「ね?」
黒い笑みで椿さんがいうもんだから、すぐに頷いた。
とてつもなく怖い。
笑顔なとことか特に。
「でも、聖藍とのことが片付くまで、私は2人のことをお父さんとお母さんだなんて…とても呼べません」
ちゃんと目を見ていう。
ケリをつけなきゃいけない。
向き合わなきゃ……きっとこれからも私は過去に囚われる。
過去の呪縛を解かないことには、私がうなされない日は来ない。
つまりそれは、尊の負担が減らないということ。
私が……瀧をちゃんと忘れきれてないってこと。