真愛



私はぽつりぽつりと全てを話した。

聖藍との思い出が私の中で輝いていたこと。

みんなを大切に思っていたこと。

kudanに捕まって、犯されたこと。

みんなにあんな仕打ちを受けて、どんなに辛かったか。

トラウマを持ったこと。

今は尊の助けもあって、一緒に暮らしてること。

包み隠さず全てを打ち明けた。

声が震えながらも全てを話せたのは、尊が隣にいて手を握ってくれたから。

温かいその手に触れていると、何でもできちゃう気がする。

辛いことも苦しいことも乗り越えていける。

そんな気持ちになれるの。

きっと、尊自身が温かいからだね。

ありがとう、私の隣にいてくれて。

こんな私を愛してくれて。

「これが全て。私の…全てだよ」

「…ほんと、俺たちが馬鹿だった。踊らされてた上に、大切な……大切な存在まで失うなんて、な」

絶望しきった顔をして掠れた声で呟いた瀧。

「何もかも…遅すぎた。悔やんでも悔やみきれねぇ」

壁を素手で殴り、涙を流す颯。

「何であの時…信じられなかったんでしょうか…。何であの時っっ……!!!」

唇を噛み締め、涙をこらえる悠月。

「仲間だったのに…守らなきゃいけねぇ存在だったのに…!!!」

拳を震わせ、俯く蓮。

「僕がもっと…もっと勇気があったら…っ!!」

虚ろな目をして涙を流す瑠依。





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