真愛
向き合うべきこと。
聖藍との話し合いから数日。
前よりも私の気持ちは落ち着いた。
聖藍の影に怯えず、真実を暴かれる不安もない。
話し合う前より幾分かは心が軽くなったと思う。
きっと、それは聖藍も同じ。
聖藍は聖藍らしく。
私は私らしく。
「あら、奈々。縁側に1人で何してるの〜?」
そう、私は本家に来てる。
家事はやるだけやったし、本家に行きたいというわがままを尊は快く受け入れてくれた。
1人でいるよりは、本家にいた方が安全だ、って。
まぁ、尊が仕事を終えるまでの間なんだけどね?
「やっと、呼べるなって」
「ん〜?何がかしら?」
「…お母さんって、やっと呼べます」
「!! 奈々〜っ!!」
私を強く抱き締め、頬ずりしてくる椿さん。
本当の親子みたいで心が温かくなった。
「こうしちゃいられないわ!司の所に行くわよ!」
「え、え?」
強引に手を引かれ、司さんのいる座敷へと連れられる。
すごい勢いで手を引くもんだから危うく転びそうになる。
つ、椿さん…まだまだお若い…。
「ほら、座って座って!?司、あんたもちゃんと座りなさい!」
「何だ、椿。いいことでもあったのか?」
ニヤニヤしながらいつものように座り直す。
椿さんも司さんの隣に座る。
「奈々から報告があるのよね!?」
「ガキでもできたか?」
「ぶふっ!!な、な…!?そんな訳ないじゃないですか!!」
私の顔がゆでダコみたいに熱くなるのを感じる。
今の私の顔、ほんとに酷い顔なんだろうな…。
恥ずかしさのあまり、俯いてしまう。
「もう!司が変なこと言うから奈々が俯いたちゃったじゃない!」
「すまんすまん。それで、どうしたんだ?」
私はゆっくりと深呼吸をして、話す決意を固める。
やっと、2人の気持ちに応えられる。
「片付けてきました、過去の記憶を。これでやっと…胸を張って2人を親だと思えます」
柔らかく笑ってみせると、司さんが穏やかな表情を見せる。