真愛
尊side
「寝たか」
俺に体を預けて、気持ち良さそうに眠る奈々にキスをする。
こいつがそこまで考えていたとはな。
捨てられる覚悟で話したんだな。
どれだけ辛かったのか。
そう考えると胸が張り裂けそうだ。
思い過去を持つこいつを、人生の全てをかけて守り通す。
もう2度と、辛い思いはさせねぇ。
「ベタ惚れだねぇ、尊」
「そりゃな。やっとそばにいれるんだ、嬉しすぎて夢かと思うくらい」
「まさか尊がそんなに女にのめり込むとはね〜♪やっと1人の女にとどまった」
「俺は初めから奈々しか見てねぇよ。手に入れるなんて叶わないと思ってたから、女遊びが酷かった時期もあったがな」
「ほんとにね!!どんだけ組長と椿さんに愚痴られてたことか!!」
うあああ〜…とかいって頭を抱える楽。
…そんなに酷かったか?
まぁ、親父とお袋も心配してはいたな。
いつか女に刺されるとまで言われていた。
でも、奇跡のように隣には奈々がいる。
もうそんな心配もいらねぇな。
俺が離す気ないんだから。
「奈々ちゃん、辛かっただろうね」
「まぁ…な。その傷を少しでも癒すことが俺の役目だ」
「うわー…尊がデレデレとか気持ち悪っ…」
吐く真似をしている楽に1発蹴りをいれる。
そんなにデレデレか?
自覚がないんだがな。
いつかこいつが、心から笑う姿を見たい。
ただそれだけなんだがな。
まぁ、今でも充分可愛いんだが。
「みこ……と…」
寝言で俺を呼ぶ奈々に愛しさが増す。
もう、離さねぇからな。