真愛
その温かさが優しく、そして…残酷。
生きている時の温かさは、失った時の悲しみを倍増させる。
とても残酷で辛いもの。
「ねぇ、ヒナ姉に…あい、たい……っ!!」
「……それは無理だ。だってアイツは…」
「会いたいのっ!!どうしても……!!会って謝りたいの!!」
「だからヒナはもう……」
「嫌だっ…!!ヒナ姉に会わせてっ!!!」
「いい加減にしろ!!!ヒナはあの日死んだ!!事故に合って死んだの、お前もわかってるだろ!!」
少しの沈黙の後、私はゆっくりと言葉を発した。
「…事故じゃないでしょ?」
「……は?」
「私でしょ?ヒナ姉を殺したの」
そういうと楽兄は大きく目を見開いた。
今でも脳裏に焼き付いて離れないあの日の記憶。
私がヒナ姉を殺した日のこと――――。
私たち兄妹はいつも一緒だった。
遊ぶ時も、イタズラする時も、怒られる時も。
泣く時だっていつも一緒。
私の隣には楽兄とヒナ姉がいた。
私たちの親はいつも喧嘩ばかりで仲が悪かった。
だから、3人で支えあって生きていた。
ヒナ姉は楽兄より1つ年上で、しっかり者で優しかった。
小さい頃から大人びていたヒナ姉は、毎夜私に手をあげる母や父から守ってくれた。
そうやって守って支えあって生きてきた私たちも大きくなって。
ヒナ姉が17、楽兄が16、私が11の時にそれは訪れた。
ヒナ姉は、当時の聖藍の頭に見初められ、姫ではなかったものの、聖藍に守られていた。
聖藍の頭も、ヒナ姉を心から愛していた…はずだった。
いつものようにヒナ姉が倉庫へ出かけるのを、珍しく私は泣いて止めた。
なぜか嫌な予感がしたから。
ヒナ姉は、ごめんねと困った顔をして家を出ていった。
楽兄も心配だといって、私を家におき、隠れてあとをつけた。
しばらくは家で大人しくしていた私も、段々不安になってきて、倉庫へと急いだ。
その小さな足で一生懸命走って倉庫を目指した。