真愛
「ヒナ姉…やだ、死んじゃやだよ…!!」
「ごめん、ね…?でも、だい、じょうぶ…。お姉ちゃん、は…いつでも、ヒヨの…隣に…いるの。おねが、い…ヒヨ……笑って?」
私は震える手でヒナ姉の頬を両手で包み、涙を流しながら笑った。
ヒナ姉が死なないように祈りながら、笑って、笑って。
「やっ、ぱ、り…ヒヨの笑顔、は…最高ね……。笑顔を、忘れちゃ…だめよ…?お姉ちゃん、との…やく、そく……」
そういってゆっくり目をつぶり、それからヒナ姉が動くことは無かった。
「ひ、な…ねえ……?ヒナ、姉…ヒナ姉…ヒナ姉えええええああぁぁああぁ…!!!!!!」
私はヒナ姉の亡骸(なきがら)を抱きしめながら叫んだ。
その声に反応して楽兄が来て…それからは記憶がない。
気がついた時には聖藍のメンバーが全員倒れていた。
きっと、楽兄がやったんだろう。
今はそんなことどうでもよかった。
「ヒヨ……」
「ヒナ姉…ヒナ姉…ヒナ姉……」
ブツブツと独り言のように呟き続けた。
楽兄は私をヒナ姉の亡骸ごと抱き締めた。
ヒナ姉の葬儀が執り行われても、私は変わらず実感がわかなかった。
安らかに眠るヒナ姉の顔。
今にも目を覚まして笑ってくれるんじゃ、なんて叶わない願いを持って。
でもそれも叶わぬ思い。
目を覚ますことなく、葬儀は終わった。
炎に包まれ、煙になったヒナ姉を見て、やっと実感がわいた。
もうあの笑顔を見ることは無い。
あの声も、怒った顔も…もう……。
空を仰ぎながら私はひたすら謝り続けた――――。