真愛
西の獣。
「はーーーあ…」
これで何回目の溜息?
数えることすら面倒になるほど、ずっと深い溜息をついてる。
尊は今日遅くなるらしく、起きて待つなといわれたから。
何時になるかわからないから遅くまで起きててほしくないらしい。
私の体を心配してくれるのは嬉しいけど、うん。
でも…朝の尊は、何か変だった。
いつもは目をしっかり合わせて話すのに、今日は目が合わなかった。
合ってもすぐそらされて。
そのことが頭を支配し、不安を煽ってくる。
…うわ、き……とか…?
でも、この前あんなに愛を囁いてくれたんだし…。
信じても、いいんだよね?
もう何も考えないように家事に一層集中する。
集中しすぎて全ての家事を午前中でこなしてしまったため、午後は雪乃と出掛けることにした。
家にいると、余計なことまで考えそうで。
「それで、今日はどうしたの?」
突然聞いてくるものだから、何が?と返した。
「もーう!隠さなくてもいいんだよ?尊さんと、何かあったんでしょ?」
…ご最もです。
私はうつむいて、少し迷った末にしぶしぶ口を開いた。
「浮気…なのかなぁ」
「はぁぁぁぁぁ!?浮気ぃぃぃぃい!!??」
「ちょっ、雪乃!みんな見てるから!!」
大声で叫ぶ雪乃の口を塞いでなんとかやり過ごす。