真愛
「え、あの尊さんが?ないないないない。なーつんにベタ惚れなんだよ?二重人格かってほど惚れてるのに…どうして?」
私は丁寧に1つ1つ説明した。
朝いわれたこと、いつもと様子が違ったこと。
それを聞くと雪乃はうーんと頭を抱え考え始めた。
「でも、どんなに考えても浮気のうの字も出ない!まず、すっごーーく女嫌いなんだからね?尊さん!」
「え、そうだったの!?」
「そうそう!繁華街でも女がいたらオーラがどす黒くなるし、気安く触れようものなら突き飛ばされてたし?他の組とかここら辺一帯の人が知ってるよ?久月 尊=女嫌いって」
…私って本当に人に興味なかったみたい。
毎日繁華街にいたのに久月組の存在すら知らなかったし…。
逆に知らない方がすごい…らしい。
他人に興味なかったんだもの、仕方ないよね。
「久月組すら知らないなら、紅瀬(くぜ)組のことも知らないんでしょ!」
呆れたようにいう雪乃。
いや、知らないけどさ…。
「紅瀬組ー…聞いたこともないかな」
「やっぱり…。紅瀬組っていうのはね、久月組の兄弟みたいな組なのね?盃を交わして、互いに争わないっていう“休戦協定”を結んでるの!初代の頃から争い合ってたらしいんだけど、尊さんのおじいさんの代から、争わず互いに助け合うよう休戦協定が結ばれたって話!」