真愛



「テメェのせいで奈々が変な勘違いしたじゃねぇか。詫びろ」

「え?え?どういう…」

「いや、俺も聞きたいんだけど!!??」

「はぁ…奈々、俺は女と浮気してたんじゃねぇ、コイツに呼び出されてさっきまでここに居たんだ」

「え、そうなの…?で、でも!今日の朝様子がおかしかったじゃない」

「コイツは1度話すとなかなか帰してくれねぇんだよ。それに…」

「この子が噂の蝶!?なぁ、そうなのか!?」

「…ハイテンションになりやがるからウゼェ」

呆れた顔でいう尊。

「ご、ごめんね…私てっきり女の人と浮気してるのかと…」

「他の女とか気持ち悪い。俺は奈々以外興味ねぇ」

さらりといってのける。

恥ずかしすぎる…。

「アツアツだなぁ!申し遅れた、俺は紅瀬組若頭の紅瀬 綾牙(くぜ りょうが)だ!よろしくなぁ!」

「初瀬 奈々と申します…尊の元でお世話になってます」

「いい名前だなぁ!!」

私の手を取り、ぶんぶんと振る綾牙さん。

するとゴン、という鈍い音がして、即座に綾牙さんの手が離れた。

そこには眼鏡をかけた黒髪の人がいた。

「若、初瀬さんが戸惑っておられます。何より、尊さんの血管が切れますよ」

後ろを見ると、額に血管が浮き出ている尊。

……おこだね。

「お初にお目にかかります。私、若の護衛係兼お世話係の朱雀(すざく)、と申します。どうぞお見知りおきを」

「初めまして、初瀬 奈々と申します」

「お話はよく尊さんからお聞きしてますよ。美しくて誰もが魅了される魅力をお持ちだとか」

「い、いえそんな…」






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