真愛
つい照れて顔を赤くしてしまう。
さっきまでの涙はどこへやら。
誤解しちゃって悪かったかな。
「尊、水くさいぞ!こんなに可愛い子がいるならもっと早く紹介しろよ!」
「いや、お前は面倒だからな。とりあえずうるさい」
「ひどいな、おい…w 俺にとってお前は弟も同然なんだから、話してくれたっていいじゃないかよ…」
しょぼんとして項垂れる綾牙さん。
え、年上?
「し、失礼ですけど…綾牙さんておいくつなんですか…?」
「俺の5つ年上で27だな」
「ええ!?同い年くらいかと…」
「いやぁ、嬉しいなぁっ!なんてったってこんなに可愛い子に言われちゃ照れちゃうぞ☆」
顔を微かに赤く染めて照れる綾牙さん。
27歳には到底見えない、若すぎる。
いや、これは尊かが老けてるだけなんじゃ…。
「全部声に出てるぞ」
「あら、つい本音が」
「…お前家帰ったら覚えとけよ」
ニヤリと笑うその顔に嫌な予感しかしません。
悪魔にしか見えないのは私だけ?
「尊さん、相変わらずドSですね」
「いや、朱雀には適わねぇな」
「朱雀さんドSなの?優しそうだよ?」
「奈々、本物のドSってやつはな、優しいツラしてんだよ」
私の肩に手を置いて呆れるようにいう。
だって微塵も感じないんだもん。
「その内わかるよ、朱雀のドSさ」
いや、楽も負けず劣らずドSだよね。
なんて思ったのはここに仕舞っておこう。
「誤解も解けたし、帰るぞ」
「もう帰るのか!?もう少しゆっくりしても…」
「お前のもう少しは日が昇る。帰る」
私は尊に手を引かれるまま紅瀬組本家を出た。
座敷から出る前に、2人に軽く会釈をして。
ちゃんとご挨拶出来なかったのは納得いかないけど。
今度、尊にお願いして改めて挨拶しよう。
そう思いながらいつものマンションへ向かった。