『1人の女の子』
女の子の心停止の原因も治療法も不明。
両親はつきっきりの看病をしたがったが、誰かがついていると必ず発作を起こした。
周囲の人間が原因ではと医師も含めて検査が行われたが、完全なシロ。
原因不明の病は珍しくないが、これはとびきりで途方に暮れるばかりだった。
それからある1人の医師がありえない発言をした。
「この子は寂しくないと発作を起こすのかな」
馬鹿げた発言だった。
そんなはずがない。
しかし、今までのカルテや周囲状況を照らし合わせることで現実味を帯びてきた。
「この子は寂しくしないと死んでしまう」のではないかと。
女の子が幼稚園にあがる頃、女の子の元に両親はいなくなった。
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