失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
登校の時間。

多くの子が教室に向かってきてる。

教室のドアを出る瞬間、

無言で、
和泉の手を振り払うように離す。


職員室と、学生下駄箱があるのは、
反対方向と言っても、

それでも教室の前には、人が多い。




大声で文句を言いたい所だけど、
大人しく、
2人で職員室がある事務棟の方向へ行けば、

学生もほとんどいなくて、



階段の隅で、

和泉に、話かける。



「何考えてんの!!」

「は?」



「急に名前とか。手とか!!」

「は?なんで?」

……。
なんで!?

いや、いや?



「いや、だから……」



そう言い淀んでいれば、



「付き合ってるから、名前。んで、手。別に問題ないじゃん?」



……

……はい?



って、あんた本気だったの?

……また、きっと、
顔に出てたんだろう。



キャラ止めてから、

ってか、
和泉と一緒になってから、

本当に顔にすぐ出るようになってきてて、

情けない。


「へー。冗談だと、思ってた?」


そう言って
笑う和泉に、


「そりゃそうでしょ!」

「なんで?」



「は?」

「なんで冗談で付き合うんだって?」




……ってか、

なんで、冗談じゃなく、

あんたと
付き合う事になってるのか、

私が聞きたいんですけど……。
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