失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
その日のお昼、
相変わらずなっちゃんと外でお弁当を食べていれば、

「陽汰君と喧嘩でもしたのー?」

と聞かれ、

「……どうかな……。」




あれが喧嘩……
になるのかなとか1人考える。




「早く仲直りしないと、取られちゃうぞ(笑)」


そう言って、
笑うのを見て……



「……。」

黙れば、



「やだ!!嘘だよ!冗談!!陽汰君は陽ちゃんが、好きなんだから、大丈夫だよ!!」



と、必死になって慰めてくれる。

……本当になっちゃんは優しい、な。


クラスで浮き始めている私に、なっちゃんは相変わらず話かけてくれるし、お弁当だって一緒に食べてくれる。



その優しさに少し、涙腺が緩み、

「……なっちゃん、ありがとう。」


俯きながら小声で話せば、



「大丈夫!私だって彼氏と喧嘩とかしても仲直りできたし!!陽ちゃんと陽汰くんだってすぐ仲直りできるよ!!」


……私のお礼の意味を勘違いしながらも
必死に伝えてくれるなっちゃんに心が傷んだ……


こんなに優しい友達さえ、
私は騙して……。




「陽ちゃん?」

「あ、ごめん……。なっちゃん、本当にありがとう。同じクラスになれて嬉しいな。」

そう言って少し笑ってみれば、

「照れるし(笑)!」

って、なっちゃんも笑ってくれる。



「ううん、本当になっちゃんは優しいよ。」

「あはは。部活やってるとなんかね?うん、集団って大変じゃん!」


部活をやっていない私には、
あまりわからないけど、色々きっと大変な事はいっぱいあるんだろうな。



「部活たのしい?」


「あ、うん。暇なら、体育館おいでー!バレー見てるのも結構楽しいよ!!見学!見学!今、一年生も見にきてるし!!」


「うん、放課後、覗くね。ありがとう。」



本当に、
本当になっちゃん、ありがとう。




和泉の事は……
大丈夫。


そう、喧嘩もなにもないじゃん。


もう……終わるんだから、

もう……。
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