失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
理由がわかったのに、
モヤモヤする心。
「……行かない」
小さい声でそう伝えれば、
「お前まだ、湊太なのかよ!!いい加減諦めろよ!!」
そう言ってまた怒鳴られ、
そして睨まれ、手を離された。
……。
は、は。
ねー、和泉?
それって……
自分に言ってんじゃないの?
こいつ……気づいてないのかな。
本当、頭いいくせに、馬鹿だよね……。
モヤモヤしていた心が、
ギュッと何かに掴まれたように胸が苦しい。
「……私は諦めてる。
というか、もう、終わった。湊太くんだけだったけど、ちゃんと、言ったからね。あんたは……。」
そこまで言って、
言葉を止める。
こいつの言葉はきっと
届けられないんだろう……な……。
あの2人を知って、長く一緒にいて……。
そりゃ伝えられないよね……。
苦しいだけじゃなくて、胸に微かな痛みが走るけど、
それには気づかない振りをして、
そのまま言葉を続ける。
「和泉なら、すぐ他にいい人見つかるよ。大丈夫。」
そう言って
笑ってやれば、
「はは、すぐね。」
そう言って、また、
いつもの、
感じ悪い笑顔が突然、私に向いた。