失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜

同じ場所 side 青葉陽

side 青葉 陽


「お前、本当にいつも、俺といると泣いてるよな……」

そう言って、
和泉の手が上に向かって伸びてきた。

一瞬、頭を撫でてくれるのかと思った手は、
そのまま下ろされ、



「……嫌いなんだもんな。」

そう言って、

また、
今まで見た事のないような、


悲しそうな微笑みに思わず、
違う!と叫びそうになる。




でも……それは……。



それは、言っても伝わらない言葉。

だから……

だから、

そのまま、和泉を見て



「ね……もう止めよ。」


目を閉じれば、
そこから、少しだけ目に溜まった涙が零れ落ちる気がした。


そして、

和泉に背を向けその場を立ち去ろうとすれば、
後ろから


「陽。」


はは。


本当にあの時と一緒じゃんか……。

名字から名前に変わった事が、

余計に私の心を苦しめる。



どこまで、嫌がらせすんのが

好きなのよ……
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