失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
湊太くんに降られ1人泣いて歩いていた同じ場所で、

また、和泉に後ろから声をかけられる。

そして、同じように

振り返らずに、


「な、グズっ……何?」

嗚咽が交じりながら、また同じように返事をする。



「……」



喋らない、それでも、あの時とは違って腕を掴む事はない和泉に、歩いていた足を自ら止め、

上を向いて涙を塞き止める。



「その後は……満足?だっけ?は、は。」



そのままあの日と同じセリフを確認する。



和泉の方には
もう振り返らない。

そのまま、止めていた足を
動かしたいのに、立ち止まる自分に、


「笑えばいいじゃん!!もう全部あんたが言ってた通りだよ!!」

持っていた鞄をギュッと掴み、



「私は馬鹿なの!!だから、もうほっといて!!」

そう言って

また、流れ落ちた涙を自分で拭い、
今度こそ、1人戻る私に、


後ろから、和泉の体温が被さるように降りてきた。




和泉に、抱きしめられ、






心臓は苦しいのに、
早く解かないとと思っているのに、


背中に、そして、前に回された和泉の腕に、
その温もりに安心するよるかのように


自分の身体が動かない……。




そして、和泉もそのまま動かずに、



ただ
時間だけがものすごくゆっくりに流れてく。
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