失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
抱きしめていた腕が緩み、
そのまま肩をグイと回され、
和泉の前に向き直るように、立たされる。
さっきまで涙が出ていた目はもうすっかり乾いた私に、
もう流れてもいない涙を、
私の頬から拭うように触る。
「なんなの!って聞いてんじゃんか!!」
そう言って
また、怒鳴れば、
明らかに面白がってる和泉の顔が真面目になり、
「陽、まだ俺の彼女だろ?」 って。
その顔に、
意図が全然わからない和泉に、
「さっき言った!!」
そう怒鳴り返せば、
「陽、好きだよ。」
って……また、優しく微笑む。
だから、だから、だから!!!!
「嘘ばっか言うな!!!」
そう、返した私に、再び
真面目な顔で、
「嘘なんて言ってない。
俺は、お前を守りたいし、
お前が好き。
亮平なんかに触れさせたくないし、
もちろん湊太にだって、
てか誰にも、お前を渡したくねーんだよ。」
そう言って、
私の前で、また、優しく微笑んで、
「お前も……俺の事、好きになった?」
……って。
……
……
……