失恋にも浸れない!〜私、王子様の彼女になったんですか!?〜
しばらくそのままでいれば、

廊下を歩く一人分の足音。

湊太くん……戻ってきたんだ。


泣いた跡は、隠せそうにない。

化粧は薄いけど、



目が赤い。


眼鏡……。

鞄に入った眼鏡ケースから、赤い淵付きの眼鏡を取り出す。

多少はお洒落眼鏡といっても、

私がすれば、単なる眼鏡だ。



こんなダサい格好……。


でも……


コンタクトずれたって言えば……


大丈夫かな……。



やだ、な。


やだ。


やだ。

やだ……



トイレのドアノブを持った手が動かない。
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