スパイシーショコラ
第3章 ナンバーワンホスト
車から下りた男は、胸のポケットからシガレットケースを取りだす。
パチン!と軽く蓋を弾いて、タバコは瞬く間に細い指先のあいだへ。
(魔法みたい!!)
次の瞬間、タバコは優美な指先から、薄く貴族的な唇へと居場所を移される。
同じ指でシガレットケースを仕舞うと、いつの間にか取りだしたライターに火を燈した。
しなやかな手つきで炎を覆いながらタバコを近づけ、ゆっくり息を吸い込んでゆく。
ふーっ
吐き出された煙が、夜の闇に広がった。
ジタンの香り。
わずか4.5秒のショーの幕切れは仏蘭西の香りがした。
タバコに火を点ける。
たったそれだけの動作で、一瞬にして自分の世界に人々を惹き付ける。
そういう種類の人間がいる事は解ってはいたが、実際に目の当たりにして、その魅力にあらがうことなどできない、花江だった・・・・・
「よっ、お疲れさサン!!今日も元気に屋台ひいてきたのかよー!!」
さっきのショータイムはなんだったのか?と思うほど拍子抜けした男の第一声が響いた。
「へへっ、いらっしゃい!!また来てくれたんスね~。嬉しいっス!!」
「んー、お客さんに頼まれちゃってサー。お兄サンとこのチョコ、なんかスッゲー評判良いんだけど、マジ、ヤバイくらい。わりぃーんだけど、今日チョット多めに貰ってって良いカナ?」
「ハイ!かしこまりました!!お幾つに致しますか?」
「えっと、10人分なんだけど、一人3つづで、全部で30個、へーき?」
「うっわ、ぎりぎりっすね~ でも大丈夫。なんとか間に合います。」
「マジ?悪いね!」
「いえ、こっちこそスイマセン、お客様に気を遣わせちゃって。」
「んもぅ~、なになに~、ぜんっぜん、ぜんっぜんそんな事ないって!!」
大げさに手を振っておどけてみせる態度は、心なしか、カールスモーキー石井氏を彷彿とさせていた。
パチン!と軽く蓋を弾いて、タバコは瞬く間に細い指先のあいだへ。
(魔法みたい!!)
次の瞬間、タバコは優美な指先から、薄く貴族的な唇へと居場所を移される。
同じ指でシガレットケースを仕舞うと、いつの間にか取りだしたライターに火を燈した。
しなやかな手つきで炎を覆いながらタバコを近づけ、ゆっくり息を吸い込んでゆく。
ふーっ
吐き出された煙が、夜の闇に広がった。
ジタンの香り。
わずか4.5秒のショーの幕切れは仏蘭西の香りがした。
タバコに火を点ける。
たったそれだけの動作で、一瞬にして自分の世界に人々を惹き付ける。
そういう種類の人間がいる事は解ってはいたが、実際に目の当たりにして、その魅力にあらがうことなどできない、花江だった・・・・・
「よっ、お疲れさサン!!今日も元気に屋台ひいてきたのかよー!!」
さっきのショータイムはなんだったのか?と思うほど拍子抜けした男の第一声が響いた。
「へへっ、いらっしゃい!!また来てくれたんスね~。嬉しいっス!!」
「んー、お客さんに頼まれちゃってサー。お兄サンとこのチョコ、なんかスッゲー評判良いんだけど、マジ、ヤバイくらい。わりぃーんだけど、今日チョット多めに貰ってって良いカナ?」
「ハイ!かしこまりました!!お幾つに致しますか?」
「えっと、10人分なんだけど、一人3つづで、全部で30個、へーき?」
「うっわ、ぎりぎりっすね~ でも大丈夫。なんとか間に合います。」
「マジ?悪いね!」
「いえ、こっちこそスイマセン、お客様に気を遣わせちゃって。」
「んもぅ~、なになに~、ぜんっぜん、ぜんっぜんそんな事ないって!!」
大げさに手を振っておどけてみせる態度は、心なしか、カールスモーキー石井氏を彷彿とさせていた。