太郎と花子
私の1日はまず毎日太郎くんが家を出るタイミングを見計らい偶然っぽく出会い
「おはよう」
と声をかけ高校まで一緒に行く事から始まる。
これを続けてもう1年以上経つ。
「昨日、心霊のテレビみた?」
「見たよ。でも思ったより怖くなかったな」
「私は怖くてトイレいけなくて」
「昔から花子は怖がりだもんな」
なんてたわいもない話をしながら登校する時間が私の一番幸せな時間だったりする。
そんな毎日だったのに今日だけは違った
。
教室に入ると
「おはよう」
と声をかけてきたのが親友の野沢夏。
中学から一緒で私のほぼ全てを知っている人間だ。
「朝からなんかご機嫌ななめね」
「そうなの。
私が太郎くんと歩いてたら女の人が太郎くんに声をかけてきて。
吹奏楽部の先輩らしくて私がいるのにふたりでペチャクチャと話をして私は孤独を感じながら来たわよ」
「もしかして佐藤美月先輩?
学校一かわいいと評判の人?」
「そんなの知らないけどキレイな人ではあった。
太郎くんとはクラスも部活も違うから会えるのなんて登校時間しかないのにぶち壊わされたの。
明日から朝掃除とか朝練とかで当分一緒に登校できないのにもう最悪」
「ワケわからない理由でマネージャーなんかやるからだよ」
「だって太郎くんに私を応援してほしかったんだもん」
「ってか野球部を応援してるのであって花子を応援してるわけではないからね」
そんなバカな会話を毎日のようにしている。
そして太郎くんのことを考えながら1日が終わる。