距離0センチ



階段を下りるときも、立花君はやっぱりリードしてくれて優しかった。



「そうだ紫乃先輩!」


握っている手はそのままで振り返ってきた。



「うん?」


「この場所は誰にも言わないでくださいね?」


「なにか困るの?」


そしたら立花君は少し照れたように笑って、


「ここに来るのは俺とだけにしてほしいんです……」


「……っ」


なんて、言うから心臓が跳ねた。




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