距離0センチ
立花君はさらに握る手に力を入れる。
「それに、来年も俺と来て欲しいんです」
「……」
私は何て返したらいいのか分からなくて、黙ってしまう。
ただ立花君の真っ直ぐな瞳から、視線をそらすことは出来ない。
そんな私に立花君は、何か焦ったように言葉を続ける。
「あ、あと!今日よりもっといい場所探します!
紫乃先輩が喜んでくれる場所に案内します!
だから……」
消え入りそうな声になって、立花君はとうとう視線を下にした。
立花君の瞳が私を見てない。