距離0センチ
頭がぐるぐるして、平静を装えない。
この後どうしようなんて考えてたら、自然と立花君が腕をほどいた。
私の両腕を掴み、お互いの顔が見れるまで距離をあける。
「……」
「……」
「……」
「……」
「紫乃先輩、顔真っ赤」
「…立花君も」
二人して顔見合わせて笑った。
立花君といると楽だな、楽しいなって思う。
「じゃあ帰りましょうか」
そう言って私の手を握り歩き出す。
それに続いて私も歩く。
立花君はゆっくり歩いてくれるから、私も横を並んで歩ける。
そういったことですら、なんかいいなって思った。