距離0センチ
すると、「はい!」という明るい返事がすぐに聞こえ、その手は離れ、私を解放する。
まったく、真夏でないとはいえ暑苦しい。
私を振り返って、彼を見る。
「紫乃先輩、おはようございます!」
「…おはよう」
彼は立花 悠月(タチバナ ユヅキ)君、1年生だから後輩だ。
朝からニコニコ、目尻を下げ笑っている。
清潔感溢れる黒髪は、太陽の光で輝いてみえる。
気のせいか、少し肌が焼けたように見える。
元が白かったから、そんなに黒くないけど。
きっとGW中は陸上部で頑張ったんだろうな。