距離0センチ



すると、「はい!」という明るい返事がすぐに聞こえ、その手は離れ、私を解放する。



まったく、真夏でないとはいえ暑苦しい。



私を振り返って、彼を見る。




「紫乃先輩、おはようございます!」


「…おはよう」



彼は立花 悠月(タチバナ ユヅキ)君、1年生だから後輩だ。



朝からニコニコ、目尻を下げ笑っている。


清潔感溢れる黒髪は、太陽の光で輝いてみえる。


気のせいか、少し肌が焼けたように見える。

元が白かったから、そんなに黒くないけど。




きっとGW中は陸上部で頑張ったんだろうな。






< 2 / 124 >

この作品をシェア

pagetop