距離0センチ
例えるなら
休み時間になり、由結が私の席に来た。
「今日も相変わらず元気いっぱいだったね」
面白そうに言った由結。
由結の言ってるのは、今朝の立花君のことだとすぐに分かる。
「さすがに後ろから来たのは驚いたけどね」
「確かに!パワーアップしてた!」
まるで他人事のように楽しむ由結を横目に、私はため息をつく。
「なんでため息なんてつくのよ!あんなに慕われて嬉しいじゃない」
うーん、嬉しいっていうか、嫌じゃないけど……
「あっ!噂をすれば、さっそく」
そう言って、由結は教室のドアに視線を動かす。
それに釣られるように、私もそっちへと顔を向ける。