シロツメクサ
謡と忘却
「う、っわぁ~…」
かちりと小さな音がして、
部屋が明るくなった途端、
あたしは声を漏らす。
「すっごい!
ナニ、この楽器の数!!」
きっと汚いだろうと思っていた
晴一の部屋は予想外に綺麗で、
そしてそこは、
沢山の楽器で溢れていた。
「ぇ、え?
晴一バンドでもやってるの!?」
「ん~、まぁな…いちお、
インディーズでCDとか出してたり」
「え、嘘っ?嘘っ!
すっご~い!!!」
バンドと言ってもせいぜい、
趣味でバンドをやってる程度だと
思っていたあたしは……
あまりに予想外過ぎる答えに
すごくびっくりした。
「CDっ!?CDなんか出してんの?
すっご~い!!」
「…優奈。」
「え、何?」
「…お前、コーフンしすぎ^^;」
苦笑いの晴一だけど、
あたしは……
「ねぇ、晴一!
あたし、晴一の唄聴きたいっ!」
「……ぇ、ええ!?」
ぇ、予想外過ぎる答え。
フツーこういうの、
喜ぶもんじゃないの?
ていうか、
晴一なら喜びそうだと思ったんだけど…
「……ダメ、かな…?」
「……ぅ」
聞くと、晴一は顔を少し赤くして、
そしてふいと反らした。
…訳解らんやつ。
そして、挙動不審(笑
「……ッ仕方ねェな!!
一曲だけだぞ!一曲っっ!!」
「うんっ。
一曲でも二曲でも何曲でもいーよん♪」
「-‐お前な」
苦笑いしながら晴一は、
部屋の一番奥にあるギターを手にして
ベッドに腰かけた。
「ほれ、ユウも座れ」
言われて、
そこにあったクッションを引きよせ
その場に座る。