シロツメクサ
「ん~…じゃぁ…
…なんにしよっかな…」
ピックを手にしても未だ、
晴一は迷ってた。
「…ね~ぇ!は~や~く~!」
「んだぁ!ちょい待てって!!」
晴一は、
「う~…」
と唸りながら、頭を悩ませる。
その間にあたしは、
晴一の部屋観察に移っていた。
黒と白を基調に、
落ち着いた雰囲気にまとめられた
2DKの部屋。
余程好きだからだろう。
綺麗に整頓されたCDラックに、
ギターやアンプ、
CDコンポ。
凄く大切にされているのが見て解る。
CDラックの中には、
疎いあたしでも知っている
有名アーティストのCDに交じって、
手書きらしき文字の走った
空の写真がジャケットのCD。
"謡人"
と書かれているのが、バンド名なんだろう。
一体何て読むのだろうか。
「……っし!!
決めたぞっっ!」
「なんていう曲??」
"謡人"のCDから目をそらして、
晴一に視線を合わせる。
「コオリアメ。
氷雨ってかいて、ヒサメって読まずに、
コオリアメとあえて読む^^」
晴一がにっこりと笑うので、
やっぱりすごく好きなんだな、
と感じる。
「コオリアメ、か…。
うん、綺麗な名前。
早く聞かせて」
言って、
あたしは晴一が歌い出すのを待った。