シロツメクサ
雨粒が窓を叩く音だけが聞こえる。
-‐その中に、
晴一の弾くギターの音が、
ゆっくりと混ざる。
「 冷たい雨に打たれて
灰色の空を見上げる
苦しそうな横顔の君
何を想うんだろう?
君の心情なんてわからないけど
ただ目が反らせない
10月 氷雨
そのなかで君は 何を見てるの…?
震えるその肩
濡れる小さな体に
傘を差し出すことさえ
僕には出来なくて
ただ立ち尽くす 雨は止まない
鈍色の空は まるで 君の代わりに
泣いてるみたいでした… 」
…涙が、零れた。
一筋、また一筋と、
頬の上に軌跡を描いてゆく。
「…綺麗……」
歌詞。
それも勿論だが、それだけじゃない。
ギターの旋律。
晴一の声。
それから-‐…
ギターを弾きながら唄う、晴一の横顔まで。
全てが、
作り物ではないのかと思ってしまうほどに、
綺麗、だった。