シロツメクサ
「…ぁ、たしは……」
言葉に詰まる。
あたし、なんて言ったらいいのかな…?
「-‐まぁ、
いちお考えとけば?^^」
にっと笑う晴一の一言で、
その笑顔で、
あたしは救われた。
「--…うん…」
ほっと息を吐いて、
背中のクッションに
体重をあずける。
「…俺さ、
そういう風に人に共感して貰える様な
そんな曲を作りたいんだ」
にっこり笑って、
晴一は話を続ける。
「だから、
…今はまだインディーズだけど…
将来はメジャーデビューして、
もっとたくさんの人に俺の唄を
聞いて貰いたいと思ってる」
そうやってあたしに話す
晴一の笑顔は
すごく生き生きとして居て、
-‐輝いてた…
“夢”、かぁ…
夢って、なんだろう?
少なくとも、
今のあたしには、
まだ、見つかってない。
これから見つかるのかすら
微妙だ。
夢、ゆめ、ユメ……
なりたい自分を思い描くこと?
就きたい職業を考えること?
-‐良く解んない……
「でなっ、
今度さ、ライブやるんだよっ!」
-‐けど、
なんでだろう…?
「今までは他のバンドと
一緒だったんだけどな?」
すごく楽しそうにあたしに語る
晴一の顔が、段々とぼやけていく。
声が、
聞きとりづらくなる。
「今回は謡人だけなんだぜ!?
時間もたっぷり3時間!!」
-‐ああ、そっか……
意識が、遠のく。
「よかったらユウも…」
-‐‐…眠い、なぁ……
自覚したときにはすでに、
あたしの意識は無かった。
-‐そういったら、
なんか変かもだけど。
最後に聞こえたのは、
晴一が笑みを零した、
かすかな音。