シロツメクサ




「…ぁ、たしは……」




言葉に詰まる。



あたし、なんて言ったらいいのかな…?







「-‐まぁ、
 いちお考えとけば?^^」



にっと笑う晴一の一言で、
その笑顔で、
あたしは救われた。







「--…うん…」




ほっと息を吐いて、
背中のクッションに
体重をあずける。





「…俺さ、
 そういう風に人に共感して貰える様な
 そんな曲を作りたいんだ」



にっこり笑って、
晴一は話を続ける。



「だから、
 …今はまだインディーズだけど…
 将来はメジャーデビューして、
 もっとたくさんの人に俺の唄を
 聞いて貰いたいと思ってる」



そうやってあたしに話す
晴一の笑顔は
すごく生き生きとして居て、








-‐輝いてた…






“夢”、かぁ…



夢って、なんだろう?



少なくとも、
今のあたしには、
まだ、見つかってない。



これから見つかるのかすら
微妙だ。



夢、ゆめ、ユメ……





なりたい自分を思い描くこと?


就きたい職業を考えること?





-‐良く解んない……





「でなっ、
 今度さ、ライブやるんだよっ!」



-‐けど、
なんでだろう…?



「今までは他のバンドと
 一緒だったんだけどな?」



すごく楽しそうにあたしに語る
晴一の顔が、段々とぼやけていく。


声が、
聞きとりづらくなる。


「今回は謡人だけなんだぜ!?
時間もたっぷり3時間!!」




-‐ああ、そっか……





意識が、遠のく。




「よかったらユウも…」





-‐‐…眠い、なぁ……





自覚したときにはすでに、
あたしの意識は無かった。


-‐そういったら、
なんか変かもだけど。




最後に聞こえたのは、
晴一が笑みを零した、
かすかな音。








< 19 / 27 >

この作品をシェア

pagetop