シロツメクサ
朝焼け
ピピピピピピピ…
電子音がけたたましく鳴り響いて、
あたしは目を覚ました。
「…ん…」
付けっ放しの電気が眩しくて、
薄く目を開けた状態で
音源を探し出し、
-‐止めようとした所で、
「…あれ」
その違和感に、気付いた。
ピピピピピピピ…
音源は、四角い黒い置時計。
あたしの時計は、
丸くて赤い。
思考を巡らせること
数十秒。
「…ああ、ここ、
晴一の家だ」
やっと、思い当たる。
それと同時に、
蘇る元カレ・ダイキの台詞。
雨に濡れる、観覧車。
そして
「す~…す~…」
あたしの横で、
静かな寝息を立てる晴一の、
あまりに綺麗すぎる歌声。
「…あれだけ大きな音の目覚ましで
起きないって…強者だな~ぁ…」
毎朝あれなら、
なれちゃうのかもだけど。
「…っていうか、
今まだ4;30じゃんっ!」
え、なんでこんな早い時間に
目覚まし設定してるの?
-‐なんか、
用事でもあるのかな…?
「…起こした方が、いいよね?」
そう思って、晴一の肩に手をかけ、
体をゆする。
「晴一~!
まだ日は昇ってないけど、
一応朝だよ~~!」
一体どういう起こし方だ、
と内心で突っ込みつつ、
体をゆすり続ける。
-‐けど、
「は~る~い~ち~~!」
…起きない…。
なんで起きないのっ!?
こんだけゆすってんのに!?