シロツメクサ
「…ぅ、わぁ…っ!!」
おもわず声をあげる。
「…すっごい!!
綺麗…ッ!!」
眼前には、
海と、
朝焼け。
「…だろ?」
「うそ、すごい、綺麗!!」
なんだか自慢げな晴一の横顔が、
朝日で眩しい。
自然と、笑顔になる。
「やっと笑ったな」
「…ぇ…?」
「--なんか知らないけど、
お前笑ってても、
どこか寂しそうな笑顔だったから」
…ぇ…
いつの間に、
晴一はそんな風に思ってた?
「…でも、今のは
ホントの笑顔だったんじゃん?」
その通りだった。
晴一とはなしてて、楽しかった。
-‐でも。
心から笑ってたかっていうと、
そうとは言えない。
けど、今は。
なにも考えずに、
ただただ自然に笑ってた。
「…晴一」
「ん~?」
「--アリガト」
小さく、短く、
それだけ言って、
あたしは晴一に背を向ける。
「…っ」
そして、静かに、
泣いた。
音もたてず、
声もあげず、
ただ、
涙だけが流れる。