シロツメクサ
涙空
「……はぁ…」
中村優奈、15歳。
まだまだ若い
(ギリギリ)現役中学生のクセに、
おばさん臭い溜息をついて、
あたしはそれを見上げた。
「……綺麗…」
あまりに綺麗すぎる、その観覧車。
でも、綺麗すぎて、直視できない。
あたしは、ふいと目をそらす。
「……はぁ…ばかみたい」
ほんと、ばかみたいだ。
「今さら観覧車なんか見に来たって、
どうしようもないのに」
自然と、涙が零れ落ちる。
-‐あたしは今日、失恋した。
一年間片思いして、
半年間つきあってた彼氏に、
フラれたんだ。
理由は簡単だった。
「お前の愛情、重すぎ」
どうやら、
あたしが嫉妬深かったり、
連絡寄越さないのに怒ったりするのが、
うざかったらしい。
「…自業自得、みたいな??」
ちょっとだけ、笑ってみる。
「…は~ぁ…」
失恋でなぜ観覧車なのかというと、
元彼・ダイキとの初デートで来たのが、
ここの観覧車だったから。
いわゆる、思い出の場所、ってこと。
「…って、どんだけ未練あるんだか…」
はあ~…
と、再び溜息。
ほんと、ヤになっちゃう。