シロツメクサ
「…はは。
あはははははっ
なんか楽しーかもっ♪」
雨に打たれて既に熱が出たのか、
急になんだか楽しくなって来た。
堪えきれずに笑いだす。
「あー…もぉっ
あたしどうしちゃったんだろ…
ほんとに風邪引いたかも」
とか何とか言いつつも、
屋根がある所へいこうともせず、
家へ帰ろうともせず、
「…今日は家、帰りたくないな~」
などと、出来もしない事を思っていた。
お金はないから、
ホテルとかそーいうのは無理。
友達は居るけど、
心から信用してるのは2人だけ。
しかも、二人とも今旅行中。
「…ほんと、どーしよっかなぁ…」
そう、溜息を吐いた
あたしに、
「--あのさ」
すっと、
曇天を仰いでいた視界が
鮮やかな紺に変わる。
打ち付けていた雨が、
止んだ…--?
-‐ううん、違う。
「風邪引くよ?」
おもわず振り返る。
そこには、
あたしよりちょっと年上っぽい
一人の男。
あたしに、傘をさし出してくれている、
その人。