オオカミ専務との秘めごと
アルメの神髄
ランチを食べ終わったお昼休憩中、佐奈が私のデスクを指さして「あ!」と声を上げた。
「菜緒、マウスパッド変えたの?昨日まで、それじゃなかったよね」
「うん、ちょっと気分を変えようと思って」
「へえ、いいじゃない。これ夜景?すっごい綺麗だねー。私もそろそろ変えようかな。古くなってきたし、飽きてきたし」
佐奈は自分のデスクにある、キャラクター模様のパッドを爪の先でピンとはじいた。
スワロがキラッと虹色に光るネイルは、日曜にネイルサロンでしてもらったらしい。
男性はあんな風に手入れしている手が好きなんだろうなと、佐奈のネイルが変わるたびに思う。
大神さんも綺麗な手の方がいいだろうし、私も少しは綺麗にするように努力してみようか。
今までよりは、はるかに時間があるし。
貧乏なのは相変わらずだからネイルはできないけど、お手入れくらいはしないと・・・。
自分の手を裏も表も指先までもまじまじと見ていると、佐奈はマウスパッドに興味津々なようで、目をキラキラさせて訊いてきた。
「ね、菜緒はそれどこで買ったの?私も今度は景色系にしてみようかな。南の海なんかいいと思わない?」
「そうだね、仕事に疲れたとき癒されるかも。でも、これはお土産なんだ。だから・・・」
「そっかー。それじゃ、どこで買ったかわかんないね」
「うん、ごめんね」