オオカミ専務との秘めごと
アルメの神髄

ランチを食べ終わったお昼休憩中、佐奈が私のデスクを指さして「あ!」と声を上げた。


「菜緒、マウスパッド変えたの?昨日まで、それじゃなかったよね」

「うん、ちょっと気分を変えようと思って」

「へえ、いいじゃない。これ夜景?すっごい綺麗だねー。私もそろそろ変えようかな。古くなってきたし、飽きてきたし」


佐奈は自分のデスクにある、キャラクター模様のパッドを爪の先でピンとはじいた。

スワロがキラッと虹色に光るネイルは、日曜にネイルサロンでしてもらったらしい。

男性はあんな風に手入れしている手が好きなんだろうなと、佐奈のネイルが変わるたびに思う。

大神さんも綺麗な手の方がいいだろうし、私も少しは綺麗にするように努力してみようか。

今までよりは、はるかに時間があるし。

貧乏なのは相変わらずだからネイルはできないけど、お手入れくらいはしないと・・・。

自分の手を裏も表も指先までもまじまじと見ていると、佐奈はマウスパッドに興味津々なようで、目をキラキラさせて訊いてきた。


「ね、菜緒はそれどこで買ったの?私も今度は景色系にしてみようかな。南の海なんかいいと思わない?」

「そうだね、仕事に疲れたとき癒されるかも。でも、これはお土産なんだ。だから・・・」

「そっかー。それじゃ、どこで買ったかわかんないね」

「うん、ごめんね」

< 102 / 189 >

この作品をシェア

pagetop