オオカミ専務との秘めごと
ふんわりほわほわに髪が乾くと、彼は私の隣に座って肩を抱いた。
落ち着いていたはずの心臓が急に頑張り始めて、彼に聞こえてしまいそうなほどに大きな音を立てる。
大神さんに聞こえないように、てのひらでぎゅっと胸を押さえた。
「俺は、お前が嫌がることはしないし、権力を行使するつもりもないぞ」
「・・・え?」
「今夜は、そばにいてくれるだけでいい」
グイッと引き寄せられて、ころんと寝かされて、頭が彼の膝の上にのった。
これは・・・まさか、膝枕・・・?
「寝ていいぞ。あとでベッドまで運んでやるから」
彼の指が私の髪をなでていて、とても心地いい。
つけっぱなしのテレビはバラエティを映し出していて、太っちょタレントとイケメンアナウンサーが素人投稿の映像を見ながらトークを繰り広げている。
楽しいはずの番組も大神さんの優しい指使いの魔力に負けて耳に入ってこない。
たまに耳たぶや唇に触れられて、心臓がトクンと揺れる。
これで眠れることができるんだろうか・・・。
それでも彼の指使いで眠りに誘われ、次第に瞼が重くなっていきそっと目を閉じた。
ゆっくり暗く沈んでいく意識の中で、大神さんの声が聞こえた気がした。
『いつか、覚悟しとけよ──』