オオカミ専務との秘めごと
出す声がくぐもっているのが、自分でもよく分かる。
それでも何度か呼び掛けていると腕が少し緩まった。
「朝っぱらからジタバタすんな。もう少しこのままでいろ。俺はまだ眠いんだよ」
「でも・・・」
それでは私が困るのだ。
彼の腕の中はあたたかくていいんだけれど、ドキドキする。
というかそれ以前に切迫した状況が。
「私は起きたいんですっ」
強めに言うと、大神さんは私を見て少し不機嫌そうに眉を歪めた。
「仕方ねえな。じゃあこれで許してやる」
額にチュッと唇が触れて、ゆっくり拘束が解かれた。
すかさずベッドを降りてお手洗いに直行する。
ああびっくりした。
まさかあんな抱き枕状態になっているとは・・・。
彼はいつも、あんな風に枕を抱えて寝ているんだろうか?
前はどうだったっけ。
思い出そうとするが、あのときは絶賛パニック中だったのでまったく覚えていない。
「とりあえず服に着替えよう」
全部洗濯したので、実は、スウェットの下はなんとも危ない状態になっている。
不可抗力とはいえ、大神さんの前ですごく大胆なことをしたものだと思う。
抱かれる覚悟はしていたが、今振り返れば超恥ずかしくて、頭がゆだる。
彼の言う通り洗濯物は乾いており、すぐに着替えてリビングに戻ると、大神さんは起きていた。
「なんだ、もう着替えたのか」