オオカミ専務との秘めごと
一面の青色の中、私は薄い布一枚を身にまとい、白い雲の上に乗っている。
この雲は小さいけれど柔らかくてあたたかく、ふんわりした手触りはとても気持ちがいい。
とっても居心地がよくてずっと雲の上にいたいけれど、私はここから出なくちゃいけない。
見回すと、後ろの空間に白いドアがあった。
でもそのドアは自分では開けられないと知っている。
だってあれは、あそこから来る誰かが開けるものだから。
その人は私の王子さまで、この青い世界から出してくれる人。
きっと、もうすぐ来る。
そう予感してドアをじっと見つめていると、取っ手が動いて少しずつ開き始めた。
徐々に光が射し込んできて、現れたその人は黒い髪で背が高く天使の羽を持っていた。
とても神々しいけれど、何故か缶ビールを持っている。
『飲むか?』
あ、あなたは・・・っ。
「ヤクザ男!?」
呟いた自分の声に驚いて、ハッと目覚める。
なんて夢をみるんだろうか。王子さまがあの人だとは夢見が悪すぎる。
いつものように目覚まし時計で時間を見ようとして、ふと周りの異変に気が付いた。
視界に収まりきらない白い天井に、見覚えのない模様の青い掛布団。
そして極めつけは、隣に、人の気配を感じること。
規則的な寝息も聞こえてきて、昨夜の出来事が脳裏を駆け巡った。
まさかここは・・・。
寝息の主が男性で、さらに誰なのか見当がつくが、確かめるのが超怖い。