オオカミ専務との秘めごと
唇のあたりに視線を落とすとキスを思い出してしまい、頭に血が上りそうになって必死に打ち消していると、クスッと笑われてしまった。
「めちゃくちゃ挙動不審だな」
「だ、だって、こんなの動揺しちゃうんですっ。・・・あ、それで、あの・・・?」
「ん?」
「えーっと・・・?」
あなたとアレをしちゃったの?なんて、どう聞けばいいのか。
私には恋愛スキルが足りなすぎて口ごもってしまう。
すると察したのか、ヤクザ男はにやっと笑った。
「ああ、覚えてないのか。それなら、今からするか?いやというほど、思い出させてやるよ」
そう言って、覆いかぶさってきて色気のある瞳を向けてくる。
ということは、やっぱりそういうことなの?
「うそ、本当にしちゃったの??」
ファーストキスに引き続き、バージンまでもこの人に奪われたなんて。
しかもその記憶がないとは、もったいなさ過ぎる。
でも、せめて、ロストバージンは好きな人が良かった・・・この人には彼女がいるし、一夜だけのことだもの。
公園で寝てしまった私が悪いのだけど、最悪の誕生日の朝だ。
クスンと鼻を鳴らすと、ヤクザ男は何事かを呟いたあと、クックックと笑いながら私の上から退いてベッドに沈んだ。
「あの、何を笑って・・・?」
「そのショック受けた顔・・・俺に抱かれるのを嫌がる女は初めてだよ。据え膳、とはよく言うが、意識のない女を抱くほど飢えてねえよ」
「え、じゃあ・・・?」