オオカミ専務との秘めごと
もしかして、お給料を上げてくれるんだろうか?
まさかいくら専務と言えども、そんな勝手なことはできないのでは・・・。
息をのんで見つめる私に、大神さんは名前を聞いてきた。
「神崎菜緒です」
「よし、神崎菜緒。俺が個人的にお前を雇ってやる。報酬は月十万。どうだ?」
「は!?十万!!?」
あまりの意外でびっくりな提案に、頭の中がパニックになる。
大神さんは首を傾げて私の返答を待っていて、でも雇うとはどういうことだろうか。
「えっと、それは、その、個人的に雇うとは・・・つまり、家政婦みたいなものですか?」
「家政婦じゃない。仕事内容の縛りはつけない。だが、家政婦のようなこともしてもらうかもしれん。まあその時々で仕事内容が違うから、お前をレンタルするようなもんだな」
「レンタル!?でもそれは、副業になるのではないですか?」
会社の収入とは別のところから収入があれば、副業とみなされるのではないんだろうか。
すると大神さんはニッと笑い、自分を指さした。
「・・・俺は、どこの誰だ?」
「オオガミフーズの、大神専務です」
「そう。もっと大きく言えば、大神グループ会長の孫だ。その俺が、お前をレンタルするんだ。大神に雇われているならば、副業にはならんだろう」
「えええ!?なんて屁理屈・・・じゃなくて、あの、その考え方は無理があるのではないですか?」