オオカミ専務との秘めごと
そして時刻は、午前二時半のこと。
真夜中の今、私は目覚まし時計を手に持って、ベッドの上に呆然として座っている。
「あはは、また起きちゃった・・・」
アラームのセット時間は六時にしてあり、勿論電子音は鳴っていない。
昨夜眠ったのは十一時で、今までに比べれば断然の夜更かしだ。
それでもこの時間に目覚めてしまうとは、長年の習慣とは恐ろしいもの。
もうそんな必要はないのに、この時間にしゃっきり起きて塚原新聞店に行くという生活リズムが体にしみこんでいる。
もう一度眠ろうとしても、どうにも眠れなくて困ってしまう。
しばらくはこの現象に悩みそうだと、ため息を一つ吐いた。
とりあえず眠るのは諦めて、ベッドの上に寝転がって動画を観ることにした。
動画サイトのトップには、スポーツや歌などの新着動画が並んでいる。
その中で私がいつも検索してしまうのは、これだ。
キーワードの「心霊・ホラー」で出る怖い系のもの。
『きゃあぁぁぁ、今動いた!あの人形、動きましたよね!?』
画面の中では、女性タレントがボロボロの人形を指さして「動いた!」と言って震えている。
この動画は、霊感が強いというタレントさん数人とお坊さんが、バスでいわくつきの場所を巡るというもの。
どうやら今回は幽霊が出ると噂の廃墟に来ているらしい。
ワクワクしながら隅々まで画面をみて、少しの異変でもいち速く気づくように努める。
亡くなったお母さんがホラー系が大好きで、子どもの頃から、映画も心霊バラエティも付き合わされてよく観ていたのだ。